米山隆一氏のジェンダー問題にまつわるツイートの波紋
このところ、ツイッターで米山隆一、室井佑月夫妻の周辺がかしましい。
いや、この言い方は誤解を招く。私は面白がってはいない。むしろ和解を強く願っている。
常日頃私の目に「この人ダメだね」と映っている人がひとりもいない。むしろすげえ人ばかりだ。(米山氏と室井氏のアカウントはフォローもしている。米山氏の歴史認識への批判は時折耳にするが中身を知らないので保留。)
そんな4人による諍いが果てしなくエスカレートしている。
反目するリベラル。喜ぶネトウヨ。最悪だ。
全員アウト
今回の件で救いがないのは、上記4人の中に状況を正確に理解してる人がひとりもいないことである。
医師と弁護士の資格を持つハイパー頭脳の持ち主も、優れた感性と度胸で巨悪に毒づく作家も、徘徊少女の支援など人権問題に取り組む人物も、長年にわたって女性解放に取り組む筋金入りのフェミニストも、全員がどこかしら勘違いを犯している。一体どうなってんの。
米山隆一氏、誤読される
発端は、平河エリ氏と米山氏のやり取り。
私はジェンダー平等や気候変動も出し続けていいと思います。但し出す順番としては、①経済②福祉③ジェンダー・気候変動だと思います。③を1番に打ち出すと、「余裕のある人の趣味」に見られてしまうので。又①②についても「人に優しい経済、人に優しい福祉に改革する」という打ち出しだと思います。 https://t.co/IIexOGDefs
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) 2021年11月1日
やり取りの要旨はこう。
平河「立憲民主党はジェンダー政策を前面に出さなくなるだろう」
米山「出し続けていいと思う(後に「出し続けるべき」に訂正)。但し出す順番は経済、福祉の次」
これに仁藤氏が噛み付いた。
女性の人権問題に取り組む人が増えると、自分の立場が危うくなること、自分が今までみたいに好き勝手できなくなることをわかっているから、こういうことを当選早々言う、確信犯だろう。そもそもパパ活買春おやじを野党が推薦する時点でジェンダー平等なんて本気で考えてない👉https://t.co/MttAxzezF3 https://t.co/WHBQOu5dd6
— 仁藤夢乃 Yumeno Nito (@colabo_yumeno) 2021年11月1日
米山氏の発言を「ジェンダー対策潰し」と受け取って猛批判。これは完全な読み違いである。
米山氏は「多くの国民はジェンダー問題には距離を感じているから、党の戦略としていの一番に掲げるべきではない」と言っているだけで、軽重には触れていない。少なくとも私には何度読んでもそうとしか読めない。
しかし言葉の選択が今ひとつではあった。「余裕のある人の趣味」という表現はジェンダー問題に無関心な人の気持ちの代弁(同調ではない)に過ぎないことは文脈上明白だが、米山氏自身がこの問題を軽視していると取る人が続出してしまった。
それでも決してわかりにくい文ではないと思うのだが、仁藤氏はじめ多くの人の誤読を誘う結果となった。
「女性の人権問題に取り組む人が増えると自分が困るから、わざと軽視する発言をした」という主旨の仁藤氏の言葉は、誤読に基づく言い掛かりである。米山氏はジェンダー問題への取り組みを潰すどころか、今回の選挙演説第一声では、議席を争った3人の候補者の中で唯一ジェンダー問題に触れた人ですらある。
「パパ活買春おやじ」という揶揄の言葉も、困窮に付け込んだ性搾取に厳しい目を向ける仁藤氏の姿勢そのものは支持するけれども、誤読を発端にこれはまずかろう。米山氏がブロックするのも致し方ないところ。
北原氏も似た内容の批判ツイート。
性差別のために人生が中断され、命を落とす人もいる。その現実が見えてない残念さ。そんな人が国会に行く悔しさ。しかも、ジェンダーに関する無知を指摘されると、「私がそう思ってるわけではない、一般にそう思われてるのだ」と無理な言い訳+トーンポリシングまでする。最低の見本のようなやりとり。 https://t.co/tZHxEX92jP
— 北原みのり (@minorikitahara) 2021年11月1日
「無理な言い訳」もなにも私は普通にそう解釈しましたけど……。
不思議なのは、仁藤氏と北原氏がまったく同じ誤読をしているという点。どちらも聡明な人である。フラットな状態で読んで揃いも揃って同じ誤読をするなんてことがあるだろうか。
先に誰かの批判ツイートを読み、「米山が何かろくでもないことを言ったらしい」と先入観を持って彼のツイートを読んでしまってはいなかったろうか。
繰り返すが、米山氏はジェンダー問題の軽重は語っていない。経済や福祉に比べれば国民の関心が低いと言っているだけである。
(平河氏もまたジェンダー問題を軽視しているとの批判を浴びたが、それも誤読である。むしろ立憲民主党がジェンダー問題を前面に出したことを高く評価しつつ、この先はそうはしないだろうと「予想」しているだけだ。)
ちなみに室井氏は、この頃はまだ落ち着いたものであった。
ビシッというんじゃなく、今、怒ってる人は誤解。ま
— 室井佑月 (@YuzukiMuroi) 2021年11月2日
、それを生んだヨネちゃんが悪い。
が、5日後に時間差で怒る。なぜ!
はぁ? これあたしに言ってんのか。 https://t.co/xcQ0DnIsM0
— 室井佑月 (@YuzukiMuroi) 2021年11月7日
うん、これも誤読。ここから事態は決定的に悪化する。
仁藤夢乃氏、誤読される
発端となった仁藤氏の2つのツイート。ここに関しては彼女はおかしなことは言っていない。
パパ活買春したことについて「今は奥様(😩)がいる」「もう女子大生には欲情しない」「女子大生と純愛したかっただけ」「いつまで掘り返すのか」という人がいるけど、妻がいる男も普通に買春するからね。男性たちこそ、わかっているはずだよね。買われた女に人権はなく、買春者は堂々とし議員にもなれる
— 仁藤夢乃 Yumeno Nito (@colabo_yumeno) 2021年11月1日
そして妻も夫の性欲処理機ではない。
— 仁藤夢乃 Yumeno Nito (@colabo_yumeno) 2021年11月1日
どうも米山氏を「今は奥様がいる(→だから同じ過ちは犯さないだろう)」と擁護するバカがいたらしい。これを叱る仁藤氏は正しい。
この擁護は「性欲は妻を相手に発散できるからもう買春はしないだろう」と取れる。室井氏、ひいては全女性に対して失礼極まりない言い草である。仁藤氏はそれに憤って「妻も夫の性欲処理機ではない」と言ったのだ。つまり仁藤氏は、室井氏を侮辱するどころか、バカな擁護意見から尊厳を守る文脈でもってあのツイートをしたのである。
ところが室井氏は「米山は性欲を処理するために室井と結婚した(そして室井はそれをよしとした)」と読み違えてしまったようだ。
室井氏はすっかり戦闘モードに入り、仁藤、北原両氏に誤爆を繰り返す。更によくないことには米山氏まで室井氏に同調する始末。
私自身夫婦選択的別姓にはもう20年以上前から賛成です。又あの方々からは否定されるのでしょうが、強固な男女同権論者でもあります。あの方々の活動自体は意義深いと思いますのでご自身で是非進められたらと思いますが、だらからと言って私や妻をそこまで罵倒する権利はないに尽きると思います。
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) 2021年11月9日
室井氏は「罵倒」されてない。夫婦仲良く誤読するなよ! 気付けよ!